芝生愛好家対談:しまたろう × マンタロー
普段なかなか知ることのできない、芝生管理者としての苦労や喜び、そして芝生にかける想いをたっぷり語っていただいている芝生愛好家対談。
前回に引き続き、芝生コンテスト「Masters of Lawn」の歴代チャンピオンである、しまたろうさんとmantarooo(マンタロー)さんによる貴重なWEB対談 最終章です。
※Masters of Lawn:LINEオープンチャット『みんなの芝生広場』で毎年開催されている芝生コンテスト
前回はお二人が芝生を始めたキッカケやこれまでの苦労をお話ししていただきました。
※第一章はコチラ ➡ 芝談 ~芝生チャンピオンの素顔~ 第一章 | シバノワ

※第二章はコチラ ➡ 芝談 ~芝生チャンピオンの素顔~ 第二章 | シバノワ

芝生とそれ以外の植物の共存
芝生以外で育てている植物を教えてください。

はい。芝生以外の植物…元々は本当に芝生しかやってなかったんですけど、ちょっとずつね。最初始めたときは、芝生をとりあえず全面に張って、気が向いたときに木でも植えて庭らしくしていこうかなって考えてはいたんですよ。
ただ、まず最初に芝生にハマってしまったんで、木を植えて日当たり悪くなるのが嫌だなっていうのが(笑) 芝生優先で考えるようになって、日当たり良くしたりとか、あんまり他のものを植えないようにしてた時期もありました。
最近はこういう庭作りをすれば芝生と共存できるかなっていうのが見えてきたので、それに向けて、こういうふうにやったら面白いんじゃないかなっていう庭作りを、去年(2024年)から本格的に新しい庭として作り始めるようになりました。それのメインというか、今後庭作りにしていくのにバラ植えたりとか、お花をどんどん増やしていって、芝生とお花が共存してるような庭にしたいので、今は作り変えていってるところです。
薔薇のコレクション





いろいろ植えてはいるんですよ。
木も自分で植えましたし、下草だとか一年草とか季節のお花植えたり、果樹を植えたり家庭菜園をやるんですけど、芝生以外あんまりうまくいかないんですよね~(笑)
家庭菜園


最近特にそうなんですけど、芝生以外はほとんど手をかけないんですよ。時間がなくても芝生だけやって満足してるみたいな感じで。特にお花と果樹が壊滅的でして、芝生以外のやつは基本植えたらほったらかしでOKみたいなやつがいいですね。花柄摘んだり、枯れた葉っぱ取ったりっていうのがあんまりマメにできないんです。芝生は害虫が出てきたらすぐ殺虫剤撒いたりとか、雑草ちょっとでも生えてきたら抜いたりするんすけど、他の植物ではそれができないんで、お花を綺麗に育てられる人ってすごいなと常々思っております。




あれね、本当にやり始めて思うけどお花難しいっす。芝生よりも難しいよなってすごい思うもんね。

思います。はい。

花にハマり始めて芝生の範囲がちょっとずつ狭くなっていった方もいらっしゃいますよね。
やっぱりお花やってると芝生ができなかったりとかで、作業に充てられる時間も限られてきたりするし、なかなかどっちもやるっていうのが結構難しいですね。

共通点があると思うんです。芝生ならではの管理だと思ってたのが、いろんな植物を育ててると意外とそうじゃなかったんだなと思うことあるんです。春、枯れ芝を低刈りするのなんて芝生でしかやらないと思ってましたけど、グラス系って2月にカットバックって言って低く切り戻したりするじゃないですか。これ低刈りだ!と思って。芝生の春の低刈りも頭の中でカットバックって言ってます。なんか、違うようで実は一緒なんだなって。
密を目指すっていうところでいうと、他とはちょっと共通点を見つけられないんですけどね…
密を目指すのはちょっと違うけど、密にすることで芝生にストレスかかっているっていうのは、他の植物と一緒じゃないですか。

密になるとトラブルが増えるのは一緒ですよね
やっぱり同じ植物なんだなって感じるところはありますよね。うん。

広場との出会いと、影響の大きさ
みんなの芝生広場の仲間から影響を受けたことはありますか

広場に入って衝撃でしたね。僕は最初、思ってた芝生愛好家っていうのは別の世界の人たちの生き方くらいに思ってたんです。
ただ、結構同じような生活をしてる人、本当に身近な人が芝生愛好家というか…芝生のことを考えて楽しんでて、芝生ってそんな楽しいものなんだなって。
僕正直そんなに芝生を大事にするもんだと思ってなかったので、芝生を楽しむ、それを知ったのが広場からっていう感じですね僕は。

そうですね広場入るまではブログであったり、YouTubeとかだと、どうしても一方通行で情報を受け取るだけなんで、どこかちょっと遠い世界に思えるというかね、そういうところは感覚としてあったのかなと。
マンタローさんの話にも通ずるところはあると思うんですけど、X(旧Twitter)とかで頻繁にやり取りをしてると、身近に感じられる部分があると思うんです。それがなかったら基本つぶやきを読んでるだけっていうのはあんまりブログやYouTubeと変わりませんから。
広場だと流れも速いっていうのがね。日々悩みの相談があってそれに回答して…というのがすごいスピードでされてて、また内容がマニアックなんですよ。みんなね。こんなマニアックな世界があるんだなって。でもそれが身近に感じられました。意外と同じようなことで悩んでる人もいるんだなぁと。
私結構特殊な経歴というか悩みというかが多かったりはしたんですけど(笑) それでも同じように虫とか芝刈りがうまくできないとかで悩んでたり、そういう意味でよりハマっていくきっかけになったのかなとは思いますね。
広場でもらって嬉しかったコメントや反応を教えてください。

僕だいぶ広場でコメントしてて、もう常にいる感じだから(笑)
その人に言われたこれが忘れられないとか覚えてることもあるんだけど…どれかというより、最近だと僕ぐらいしかあんまり出すことないんすけど、作業終わった後の写真をあげて、芝刈り終わりました!みたいな感じでやるんです。それって僕が広場に入った頃、結構みんなやってたんすよね。
「作業終わりました」「お疲れ様です」「綺麗だね」っていうようなやり取りがそれぞれあって、本来自分1人でやってる作業を、その場でみんなと一緒にやってるような感覚で共有できるっていう、その雰囲気が僕は好きでしたね。今もずっと続けてるんですけどね。他の人もどんどんやってくれたら結構面白いですよっていう宣伝も兼ねて(笑)

はい。そうですね…シンプルに困ってる人がいて、質問があって、自分が経験してきたことから同じような悩みがあったな とか、これはこうだろうなっていうのを回答というかね、相談に乗るというところで、ありがとうございますって言ってもらうのがやっぱり一番嬉しいですかね。
本当に困ってるんだなっていうのが伝わってくることってよくあるじゃないですか。そういった時に、必ずいろいろ検索したり、過去の自分の履歴を調べてどうだったかな とか、質問に答えるために写真拡大して病斑が出てるかな とか、これは虫かな? みたいなのを考えて答えたりとかするんですけど、やっぱそれで感謝される…感謝されたくてやってるわけじゃないんですけど、それでもやっぱり”ありがとう”って言ってもらえたら嬉しいですよね。はい。

芝生について困ってるんです。っていうのはもちろん解決してあげたいなって思うんすけど、その裏側に本当は自分はこういう生活がしたいんだ、こういうふうに芝生を楽しみたいんだっていうのが透けて見えるのが結構好きなんすよね。
ふだん芝生だけのことを話題にして話が進んでいっちゃうんですけど、それが解決しました。これだけ綺麗になりました ありがとうございました!って、子供が遊んでたり、犬が走り回ったりしてる写真とかで報告してくれるときがたまにあるじゃないですか。そういうとき芝生楽しんでるんだなっていうのを見て取れるのが、結構嬉しかったりしますね。

なるほど。うん。
だからちょっと頑張っていろいろ答えちゃうみたいな(笑)

めっちゃ頑張ってますよね(笑)
最近なんでもほっとけないっていう感じになっちゃうんすけど(笑)
いろんな人がいるけど、みんな芝生の上で楽しみたいんだよなっていうのを考えちゃうと、やっぱり応援したくなっちゃいますね。
2人とも「広場(芝生コミュニティ)との出会いが転機だった」と語ります。しまたろうさんは、「それまでは一方的にブログやYouTubeを見るだけだったが、広場に入ってからは双方向のやり取りができるようになり、情報がより身近になった」と言います。マンタローさんも「困っている人にアドバイスをすると『ありがとう』と言われるのが嬉しい」と笑顔。今では、広場に寄せられる質問に対して丁寧に回答し、初心者を支える立場にもなっています。
変化する芝生の向き合い方
今後のプランについて

今後のプラン…さっき他の植物の話ともかぶるんですけど、他の植物も全体的に楽しみつつ、新しい庭を作っていきたいなと 芝生だけじゃない芝生もお花もどっちも映えるような、マンタローズガーデンを作ります。

オープンガーデンはいつですか。
オープンガーデン?できるかな(笑) あー、もうちょっと先かな…あと1、2年(笑)
新しく植えたものばっかりなんで、見ごたえ出てくるのは何年か先かなっていう感じですね。

宿根草なんて3年って言いますからね。3年待たなきゃいけないからまだまだですね(笑)
芝生といろんな植物を育ててるガーデナーさんが、芝生を諦めてしまう話を聞くことがあります。
マンタローさんの場合、先に芝生が仕上がったから、他にないガーデンができるので、そこは強みですね。
失敗もけっこうあります。お花をどんどん増やしたら芝生がひどいことになったことがあって。数年前、病気が全体に広がったっていうのもやっぱりお花の影響だったんだよなっていうのがあったんで。そうならないようなやり方を考えつつ…今でもうまくいかなかったりもするから試行錯誤しながらですけど、どんどん挑戦していきたいなと思います。

今後はもうちょっとTM9を使いながら、早く仕上げて長く楽しむみたいな管理を模索していきたいなっていうのは漠然とした思いとしてはあります。
TM9を芝生コンテストまでに仕上げるオーソドックスな方法というか、やり方としては、肥料を少なめにして、密度を上げすぎない。スタートダッシュを遅らせて、梅雨の時期は密にしない。病害出さないで真夏に仕上げる。といった感じで、本当に一瞬の切れ味で勝負するみたいなところが若干あって。それはそれでいいんですけど、私本当はゴールデンウィークぐらいには仕上がってるとは言わないけど、ある程度綺麗になってて、ゴールデンウィークにバーベキューとかしたいんですよ(笑)
それが今のTM9では出来ないんですよね。なんだったらコアリング終わったかなぐらいの感じで全然緑になってないので。
また個人的に癪なのが、あえて密度を上げてないというよりも密度が上がらないんですよね。あえて遅らせてるわけではなくて早く仕上がらないっていうだけなんで。なのでその辺のところを逆にやってみたいなって思いますね。単に肥料を入れりゃいいっていう話じゃないでしょうし、その辺をどうしたらいいのか。
TM9の場合、物理的に秋は(芝丈を)長く管理できないんですよね、穂刈りしようと思ったらずっと低く刈るしかないみたいなところもあるので、そこはあんまり知見のない領域なのでちょっと試してやりたいですね。
あと芝生周りのところで言ったら、レンガ水路が片側にしかついてないので、反対側にも入れてもうちょっと植栽を何とかしたいなとか。
何年かかるんだろうっていう感じですけど、なるべく手をかけずに済むように、特に芝生以外はほったらかしでいけるようにしたいと思ってます。
レンガ水路

あなたにとって芝生とは

これかっこよく決めなきゃ駄目だな(笑)
芝生とは…芝生とはかぁ…芝生…芝生って、完成するものではないんですよね。
芝生植えて完成なわけではないし、例えばね、コンテストとか夏のピークの時期とかに合わせて一番綺麗になるように育てたりしますけど、そこで写真を1枚撮ってそれで完成っていうわけでもないし、ずっと続いていくものなので、その一瞬一瞬をいかに楽しむかっていう一番綺麗なときだけが全てでもないし、一年中どこのタイミングでも楽しんでいく。芝生をいかに普段の生活に取り入れて楽しむかっていうのを追求していくのが、面白いなっていう感じですね。
だから芝生とは楽しむものです。

考える時間はあったんですけど、そんな良い答えは出てこないんですけど(笑)
芝生とは…て言ってもね難しいところはもちろんあるんですけれど、何でしょうね趣味であり、生活の一部である。芝生は植物全般的にもしかしたらそうなのかも知れないけど、裏切らないというか、良かれ悪かれやったことが結果に出てくるっていうところ。ちょっと頑張ったからと言って良くなるかって言ったら良くならないじゃないですか。積み重ねがあって、結果に表れてくる。自分がいろいろ考えてやっても、外的要因でどうにもならなかったりとかっていうことももちろんあるんですけど、その辺も含めて面白いなと。
あとは、本当シンプルに趣味っていう感じではあるんですけど、やっぱりコミュニティであったりいろんなSNSもそうですし、広場でもそうですけれども、やり取りをしたりとか、そういう繋がりがあったり、切磋琢磨したり、1人だったら多分もう飽きてると思うんですよ。どっかでもうやめちゃってたりとかっていうのはあるのかなと思うんですけど…続けていけてる、日々楽しめてるのは、そういう仲間と言うとちょっとくさいんですけど(笑) そういう関係性があるっていうのは大きいんじゃないかな。
最初はなんかマネタイズしたりとか何か言ってましたけど(笑) 実はそういう面はあったんですけど、きっかけというか、関係性を維持できてるっていうのは非常にありがたいなと思うので、単純に庭を管理してるっていうだけではなくなってるなっていうのは思います。はい。そんな感じですね。

お二人とも、長い時間たくさん語っていただいてありがとうございました!
これからも頑張ってください😊
ー最後にー
「あなたにとって芝生とは?」という問いに、2人はそれぞれこんな言葉を残しました。
まんたろうさん: 「芝生は完成するものではない。常に変化していくもの。だからこそ、どの瞬間も楽しむことが大切」
しまたろうさん: 「芝生は裏切らない存在。やったことは良くも悪くも結果に出る。続けられるのは、仲間の存在があるから」
今回の対談は、単に芝生の技術や管理法を語るものではなく、それぞれの人生や価値観が垣間見える、まさに“芝談”と呼ぶにふさわしい時間でした。
道具、技術、家族、そして仲間。芝生を通じて育まれるつながりと成長の軌跡は、きっとこれから芝生を始めようとする人にとっても、大きなヒントになるはずです。
お二人の「芝愛」に、心から拍手を送りたいと思います。👏👏👏👏👏
スピンオフ

やっぱりTM9と高麗芝は似て非なるもんだな
※しまたろうさんのブログはこちらから
マンタローさんの庭がYoutubeチャンネル ガーデンドクターTVで紹介されました!
